間瀬元朗「イキガミ〜The Ultimate Limit〜」

 物語上に存在する「国家繁栄維持法」は、国民の一定数を殺すことによって、命の尊さを確認させるというもの。毎回、境遇の違う人物にスポットを当て、24時間後に自らが死亡することを告げられた場合にどういった行動をとるのかを描いています。

 毎回主人公が異なるかつ、確実に死亡しますから、もし、そこにばかり焦点を当てて書いていては、短編にならざるをえず、物語は進みませんし、たぶんに矛盾をはらむこの国家の深部を描けず、不完全燃焼になるでしょう。「イキガミ」では、境遇の違う人物の生き方を描くのと同時に、死を宣告する人物の葛藤を織り交ぜることによって、「国家繁栄維持法」や「体制」絡みのストーリーを展開しています。

 6巻は、死を宣告された人をカウンセリングする「久保」にからんで大きな展開があります。体制がらみのストーリーを楽しんで追っている人にとっては大変読み応えがあるのではないでしょうか。今回、死を宣告されたものとして取り上げられているのは、ネットカフェ暮らしの人と、父が報道に携わる人。当然、現代社会や権力への言及色が強く、これまでのように「泣かせ」にはきていないと思われます。その分、「芸術家」「いじめられっこ」「老人ホームで働く人」などを描いてきたときのような「泣かせ」にきている、物語の臭みが消えて、自分の中では、6巻で評価が上がったかな。

イキガミ 6 曝かれた真実 (ヤングサンデーコミックス)

イキガミ 6 曝かれた真実 (ヤングサンデーコミックス)