はじめに
2011年10月11日、第一種衛生管理者免許試験を受験し、10月18日、合格させていただきました。 合格発表から計算するに、今回の試験は、約5割くらいの合格率の試験だったようです。
衛生管理者免許とは?
事業者は、事業場で働く労働者の健康の確保や、快適な職場環境の形成のため、事業場ごとにそこで働く従業員の人数に合わせ、一定の数、「衛生管理者」を選任しなければいけないのですね。衛生管理者選任の条件となるのが、「衛生管理者免許」を持っていることなのです。*1そして、衛生管理者免許をもらう条件となるのが、「衛生管理者免許試験」の合格・・・というわけす。
衛生管理者免許試験では、
- 労働者の健康の確保や、快適な職場環境形成することを目的とした労働基準法、労働安全衛生法といった「関係法令」、 2.労働者の健康、その維持管理に必要な「労働生理」、
- 快適な職場環境とはどういう状態であり、どういうふうに形成していけばいいのかという「労働衛生」
など幅広い分野から出題されますが、それほど深いところまで聞かれるわけではなく、合格率も5割程度。「落とす」試験ではなく、しかも、「健康」や「労働」といったことが問われる試験ですから、多くの人が興味をもって勉強できる試験なのではないかなぁと思います。
背景・受験動機
さて、そんな衛生管理者免許試験を受けようとおもったきっかけはといいますと、一言でいえば、「労働関係の法律の勉強をするのに、目標として都合がよかった」ということです。自分は、とある企業の社内システムエンジニアを職業としていて、上流とよばれるところから下流とよばれるところまでまんべんなくやらせていただいています。業務でつくったり、メンテナンスするシステムは、「法」人である会社で働く人たちが使うシステム。労働基準法などなど法令にあわせたものである必要があり、法律の勉強も本業に役にたったりたたなかったりするのです。しかしながら、法律という分野、仕事でどっぷりつかう、というわけでもないので、勉強しづらい分野でもあります。(いろいろなことをやらせてもらっている今、どの分野にも同じことがいえるのですが・・・) それほど仕事と関わるわけじゃないけど、あると便利な法律知識。てっとり速く学ぶには「資格取得」というモチベーションがよいな、ということで、労働基準法、労働安全衛生法をまなべる「衛生管理者」免許試験の受験をすることにしました。
8月の中旬のことです。
合計の勉強時間は、91時間。勉強した日数は、56日ですから、約2か月、1.5時間平均くらいのペースで勉強したことになります。
勉強の流れ
1問1答タイプの問題集
まず、どのような問題がどのような深さで聞かれるのかを知るため、1問1答タイプの問題集をやりました。
第1種衛生管理者試験対策パーフェクト1200問+最新3回問題集'11~'12年版
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このテキストを通し2回。正答率、記憶の定着などはまったく気にしません。ひたすら試験で聞かれる知識の深さ・形式を把握することにつとめました。
また余裕があるところでも、「A=B」という試験に直結する記憶ではなく、「Aというものがあるんだな」「Bというものがあるんだな」というところを把握することにとどめました。「A=B」という知識を覚えるということは、「Aというものがある」「Bというものがある」そして、「AとBは等しい」ということをひとまとめに覚えることです。「A=B」を覚えること、単純なように見えて、実は、3つのことを覚えて、さらにそれらを関連づけなければいけない。脳みそにとっては、意外とハードルが高い覚え方で、忘れやすいのではと考えています。たとえば、まず最初は「ノルマルヘキサンという化学物質があるんだな」だとか、「病休件数年千人率という労働衛生統計の指標があるんだな」というところを把握することにとどめ、ノルマルヘキサンが引き起こす症状や、管理方法、病休件数年千人率の算出方法やその意味するところについては後回しにする感じです。
暗記ものの試験勉強では、このように、試験の攻略方法や、まずは定義だけ把握することを考え、「覚えなきゃいけない」というプレッシャーを感じないように勉強することで、かえって勉強がすすむのではないかなぁというのが、高校受験から、試験受験暦、十数年。自分の持論です。
テキスト
つぎに、1問1答タイプの問題では整理しきれなかった分野を中心に、テキストを読みました。300ページもあるようなテキストをあたまから覚えようとして読むのは苦痛でしかないので、最初から、1問1答式問題集でめどをつけておいたところを中心に、ノートに整理しながら読みました。
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たとえば、関係法令の安全衛生管理体制の分野。かならず1問出題される必須の範囲ですが、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医など各責任者の選任の事由が「似ている」けど「けっこうちがう」ため、1問1答の知識では歯がたちません。
特定化学物質等障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則など、有害業務関連の法律も、必要な設備や環境測定の頻度や方法、健康診断の頻度や項目、それぞれ構成が似ていてややこしい。
こういった分野を整理しながら読んで、まとめて、ひととおり読みました。たぶん、読んだのは、テキストの3分1くらいではないかなぁ。
過去問題集
1問1答の問題集をとき、整理して覚えないといけないところをテキストで把握。ここまでで30時間くらい、日数にして2週間かかっています。次に取り組んだのが「過去問題集」です。
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1回分まとめて、といてまちがえたところ、あっていたけど偶然だったところを、テキストやネット、問題集の解答から、ひたすら1つのテキストファイルにまとめました。(Wikiをたてたりしてみたのですが、ノートごとの関連性やタグなどでノートを管理できる利点も、使い慣れたテキストエディタで入力し、好きなフォントで閲覧する快適さにかないません。サブノートの「衛生管理者.txt」。最終的には、5000行を悠々超えるファイルになりました。テキスト化されていることで、検索も楽。紙とちがって追記も楽。別視点で整理したいなというときも、コピペで楽々。暗記が必要な資格試験に挑まれている方、サブノートを1つのテキストファイルにまとめるというのは、なかなかですよ!!)
最初は1回分の復習に10時間くらいかかりましたが、徐々に完全にこたえられるような問題も増え、得点も、242点→308点→310点→328点→342点→354点→364点という感じで順調に伸びました。
直前期〜想定模擬問題集と最新の公表問題をとく〜
過去問7回分をこなし、勉強時間は、75時間ほど。試験まであと10日程度にせまっていました。そこで取り組んだのが、想定模擬問題集。実は、衛生管理者試験、年間各地で何十回も試験が行われていて、実際に出た問題は公開されていません。衛生管理者試験で「過去問」という場合、年2回、公表問題としてWeb上で公表されている問題のことで、非常に参考にはなるのですが、「公表されていないけど出ている」問題がたくさんあることが予想できます。過去問を一通りこなした後、そういった問題に対応するため、オリジナルの問題集が有効だと考えたのでした。
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ラストの10日間。上全10回を過去問と同じ要領でこなし、前日、一番最近公表された問題をとき、タイムアップ!!試験に挑みました。
当日〜合格発表までの雑感
そんなに難しい計算問題は出ない試験なのですが、日商簿記検定を一緒に戦ってなんとなく相棒的な感覚もある電卓。持っていきました。
受験者のボリューム層は、30代くらい?意外と若い受験者がおおかったです。
試験時間は3時間。普段40分くらいで1回分とけたので、長い。1時間はトイレなどを除き退席不可。理由は、1時間まで遅刻を認めているため。理由まで説明してくれて好感がもてるガイダンスでした。
「絶対あってる」と思える問題だけで、250点。10中8〜9合格できるだろうなぁと思いました。ただし、労働生理が5割くらいしかそう確信できず、4割の合格ラインぎりぎりなのでそこだけが心配な感じ。
この試験に挑む場合、直前の公表問題は絶対に解いておくべきです。自分が受験したときは、そのまんまのもんだいが5〜6問でました。
合格発表の10時、合格発表のWebページを見る!あった!やった。
まとめ
衛生管理者試験は、仕事の都合上必要な人以外にも、労基法、労働安全衛生法など労働関係の法令を勉強するときの一つの目標として活用できるかなぁと思います。合格率も50%程度と落とす試験ではありません。失敗しても、毎月試験を行っていますから再受験もすぐできます。範囲は広いですがそれほど深いところまで聞かれるわけではありません。必死になって空回りしたり、焦ったりするよりも、軽い気持ちでリラックスしながら勉強するのがよいのではないでしょうか。。。
*1:正確にいえば、上位互換の資格(たとえば、医師免許)などもあるので、この免許をもっていなければいけないというわけではありません