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上原あずみ『ask me』~ 矛盾の描き方のうまさ

無色

無色

本当の自分をさらけだせないのは
否定されるのが怖くて

 まず、特筆すべきは、上原さんの歌い方です。 私は、これほどまで、「悲しそうな」発声をする歌手を知りません。 上原さんの声を聴いているだけで、胸になにか、もやもやっとした気持ちが湧いてきます。 きっと歌詞に描いてあるような場面が自然と私の頭に浮かんだからです。 よく小説家などは、文章で感動を伝えますが、 彼女は、「歌い方」だけで、感情を伝えます。

 実は、Clash!Clash!とこの曲が、上原さんにライブで歌って欲しい曲ナンバーワンだったりします。 どんな表情で歌って(伝えようと)しているんだろうと聴くたびに思いうからです。 そして、この曲の本当のよさがわかるのは、この感情表現が最高に上手いこの声に、 顔の表情が加わった時だと信じて疑いません。

 詩ですが、タイトルのとおり、全体的に「矛盾や、不満に対する葛藤」が描かれています。 書かれている内容もさることながら、上原さんらしいのは、その構成です。

Aメロ1 : 不満を感じる
Bメロ1 : Aメロの結論
サビ   : Bメロから湧き出たさらなる疑問
Aメロ2 ~ サビ2(繰り返し)
Cメロ ~ サビ3 : サビ12からのさらなる疑問

 まず、Aメロで、疑問を感じ、Bメロで、疑問の答えをだします。 そしてそのBメロの結論をサビで、また疑問を昇華させ、その疑問には答えを出していないのです。 Cメロと、サビ3で、全体をまとめ、そして、サビ3は、疑問の形で、アウトロへ向かいます。

 疑問の形がメインの詩は、Tears Dropがありますが、 ask me は、違う疑問を次々と沸かせているうちに、「これらの疑問はわからない事だという事」が結論になっている点で、Tears Dropと違います。 Tears Drop は、同じ疑問を繰り返し、最期は、その質問の答えを探し生きるという一応の結末を迎えているからです。

 長ったらしく書きましたが、つまりは、矛盾の描き方がとても上手いんです。 質問から質問が生まれ、答えが見えたと思ったらそこから疑問が生まれる、そんな葛藤を 言葉巧みに描いてあります。上原さんの言葉世界を堪能できる一曲です。 ライブで歌って~♪

補足
  • 元題『平成15年08月03日PM 08:08:20』
  • 2003-08-03 初稿
  • 2018-04-28 追補・再公開