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オサレ人間伝説 (9)

ヒゲを剃りながら、オサレについて考えていた。 僕は、ニュートン以来の大発見をした。 イグノーベル賞もらえるかもしれない。

僕は、ひげを剃る。しかし、1日後には元に戻る。 この誰でもしっている自然界の法則は、 実は、全てのオサレに通じる法則だったのだ。

僕はこれを、「蛮有引力理論」と名付けた。

ヒゲを剃る、この行為は、 人びとが毛むくじゃらの類人猿に向かう方向に逆らう行為だ。

しかし、時が立つとすぐに 類人猿のもつ強力な蛮有引力に引き戻される。

そこで、ヒゲが延びるまえに、床屋で髪を切ってもらう。

さっきよりも遠くまで飛ぶが、 やはりまた時間がたつと猿人に引き戻される。

眉毛をカットしてみる。鼻毛が出ていないか毎朝チェックする。 靴下の色に気を使う。美容院にいってみる。

じょじょに遠くまで飛ぶようになる。

Smart を買う。丸井で季節と流行にあった洋服を買う。 Fineboys を買う。原宿の古着屋へ行く。

徐々に飛ぶ距離が伸びていき、オシャレでいる時間が増える。

あるとき、猿人の軌道上をまわっていることに気づく。 類人猿の周りを飛ぶ「人間」という衛星になりきれた瞬間だ。

これが、オサレ人間のゴール。 自分の重力と猿の重力のバランスがとれ 意識せずにオサレ人間でいられる。

こういうひとにわたしはなりたい。

2018-04-02 記

「ぴろりーだー」という名前でmixiに書いていた日記の再掲です。