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アニメ『メイドインアビス』~ 断捨離をひたすら描く

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miabyss.com

断捨離の物語『メイドインアビス

 過去には物を捨てていく日記なども書いていたくらい「断捨離」という考えかたに魅力を感じている自分なのですが、『メイドインアビス』というアニメ・コミック上で展開される物語に、断捨離という観点で非常に共感を覚えたので、断捨離に興味がある方、実践されている方に是非一度見てもらいたいなと思い、紹介をかこうと思いました。

aods1004.hatenablog.jp

メイドインアビス

 さてさて、そもそも「メイドインアビス」(MADE IN ABYSS) というのは、2013年から現在にかけて「まんがライフWIN」で連載されている漫画、または、2017年7月から9月まで放送されたアニメ番組のタイトルです。作者は、つくしあきひとさん、ゲーム業界でイラストレーターとして活躍されたあと、現在は、漫画家として活躍されている方です。

あらすじ

 「小林さんちのメイドラゴン」の少しあとに始まったのでメイドさんのお話かと勘違いした人が多かったようですが、「メイドインアビス」の「メイド」は、make の過去分詞のmadeのカタカナ表記です。あらすじを、Wikipediaさんから引用します

 人類最後の秘境と呼ばれる、未だ底知れぬ巨大な縦穴「アビス」。その大穴の縁に作られた街には、アビスの探検を担う「探窟家」たちが暮らしていた。彼らは命がけの危険と引き換えに、日々の糧や超常の「遺物」、そして未知へのロマンを求め、今日も奈落に挑み続けている。

 ヒロインのリコは孤児院で暮らす探窟家見習い。アビスへの憧れが人一倍強い彼女は、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。その何者かが放った熱線の跡を辿ると、そこには少年そっくりのロボットが倒れていた。

メイドインアビス - Wikipedia

後戻り出来ない冒険

 「メイドインアビス」の物語の中心となる「アビス」という縦穴は、ひたすら下っていくにはとくに問題ないのですが、下ったあとに上昇すると「上昇負荷」と呼ばれる症状が現れます。深く潜れば潜るほど症状は重くなり、深度が浅いと軽いめまい程度なのですが、深度13000mを超えて下降したあとには、生きて上昇することができない程度の負荷となります。この「上昇負荷」がアビスの物語において、非常に重要な舞台装置となっています。すなわち「後戻りが出来ない」という冒険の前提です。

 アビスの物語の骨子としては、12歳の少女の「レコ」とロボットの「レグ」がさまざまな物を捨て去って、選び取り、アビスの最深部への到達に挑むというものですが、当然、地上に再び戻ることは考えていません。地上の慣れ親しんだ街や友人、生活を捨て去り、ただただ「アビスの底」を見てみたいという自分の本能にシンプルに従うという行動原理です。

 Amazonのレビューなどをみると、この主人公のさまざまなものに対する未練のなさについて「地上の生活を一切捨て去って後戻りのできない旅を始めるというところにすこし共感ができないが、「アビス信仰」*1とよばれる信仰から発生する文化の違いであり十分説明がされている」と解釈する人もいるようです。しかし、断捨離に意識して生活しているような方は、本懐を遂げるために不要なものはあきらめていくというところについて、文化的背景など関係なくそもそも非常に共感できてしまうのではないでしょうか。

物への執着心のなさ

 主人公レコの物への執着心のなさは、物語に一貫して描かれています。たとえば「星の羅針盤」というアイテムです。浅い層でレコが発掘したこのアイテムは、羅針盤の様相をしながら、真上を指すばかりで使い物にならないものですが、主人公のレコは「アビスの底」を指しているのでは?と考えていて、初登場時は、アビスの真相に関していかにも重要そうに描写されています。にもかかわらず、なんと、物語の序盤のどさくさで、これを無くしてしまうんですね。なくしてしまっても、レコは、捜索したい様子も、悲しむ様子もなく、淡々と諦めてしまいます。そんなことよりアビスの最深部への到達が需要ということです。物への執着心のなさ、そして、本当の目的へのフォーカス。断捨離の心持ちがよく描かれているなと感じます。

ひたすら断捨離を描いている物語

メイドインアビス」という物語について、「後戻りができない冒険」「主人公の物への執着心が薄さ」と2点をお話しました。どちらもひたすら断捨離の心持ちと一致するような描写だと思っています。ほんとうは、物語のクライマックス、最終話で描かれる断捨離の一連をお話ししたくてしょうがないのですが・・・、そこは是非みてくださいということで・・・。断捨離をすでに心がけている人については、断捨離の姿勢を客観的に見直すということができる物語ですし、断捨離を心がけていない人については、断捨離の気概を物語を通じてしることができると思いますので、まだご覧になっていない方は、秋にはアニメと同じ範囲が劇場アニメ化されるそうですし、Amazon Primeでも配信されていますので、とにかく、ぜひ一度ご覧になっていただきたいなと思っています。

*1:「アビス信仰」とは底の様子がわからないところから生まれる希望への帰依のこと