- 作者: 諫山創
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/09
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (4件) を見る
この記事は「読書備忘録」です
この記事は、続刊が出た時に、自分で読み返してスムーズに新しいお話に入り込むための備忘録です。また、すでに読んだ人と感想などを共有して楽しみたいなという思いもあります。詳しくは、以下の記事に書いています。未読の方、ネタバレ注意です!
『進撃の巨人(25)』あらすじ
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。
エレンらの住むパラディ島を長年にわたって脅かし続けたマーレ。そこには祖国を守るため、自分達の人権を守るために日々奮闘する者達がいた。彼らは自らの存在価値を示すため、パラディ島への「宣戦布告」を準備するがそこに現れたのは……
『進撃の巨人(25)』感想
舞台は近世のヨーロッパ風のファンタジー世界である。 主人公の初期衝動が親の敵討ちであった。巨大なものに立ち向かった。巨大なものに乗り込んだ。血筋である。支配体制に対する抵抗である。幼馴染が最重要人物の一人である。努力と工夫を組み合わせて障害を乗り越えた。時代が移り、別の人物が主人公級の扱いとなり、物語を引き継いだ。そしてこの前発売された「進撃の巨人」25巻。個人に割り当てられた固有の特殊能力を駆使したバトルが見どころの巻となっている。
さて、「進撃の巨人」の物語を短い言葉でまとめてふりかえってみると、 「進撃の巨人」という物語は「王道」の物語としかいいようがないですね。。 どこの部品を切り取ってもだいたい「王道」の展開の金太郎アメです。 人気のアニメ・漫画作品で類似の展開をもつ作品がいくつもも思い当たる、そんな要素の組み合わせでできあがっています。
でも、僕らは「進撃の巨人」を「王道の展開」だと思っていたでしょうか。「王道の展開」である点に楽しさを見出していたでしょうか。 僕らはなぜ進撃の巨人の漫画連載を、アニメ化を熱狂をもって迎えたのでしょうか。地方編の次に世界編がはじまるという王道展開を、誰がつよい確信をもって予想したでしょうか。なぜ、ループ展開だとか、夢オチだとか、そういう現在の物語の進行からするととんで見当はずれで、だけど彩り豊かな先の展開予想がされていたでしょうか。
ところで、ところでずいぶん話は変わりますが、 B'zの「Love Phantom」という曲は、途中まで出来上がっていた3曲の楽曲を合成して出来上がったそうです。王道のコード進行の複数の組み合わせの中に、意外性・独創性を見出すという作品作りです。
進撃の巨人が進撃の巨人である点というのは「Love Phantom」のように、「それぞれの要素は王道・テンプレであるが、それらの要素の組み合わせに独創性がある」というところなんだと思います。
手塚治虫が漫画・アニメ展開のテンプレートをいくつもつくり、 後続の幾千幾万ののストーリーテラーがテンプレートを王道として確立させてきて、今や、漫画・アニメ表現というのは、成熟期にあるといえます。だいたいどんな物語も、王道であるかテンプレであるかという、物語が書きつくされた時代です。
25巻までにおける進撃の巨人のおもしろさというのは、 漫画・アニメ表現が成熟期に入り現れた、「王道・テンプレの要素を組み合わせることによる独創」という新しいテンプレ展開によるところがだいぶ大きいと思います。テンプレは理解しやすく、理解のしやすさはそのままおもしろさにつながりますからね。そしてまた、漫画・アニメ文化の中での「進撃の巨人」の価値というのも、「要素の組み合わせによる独創」という新しいテンプレートの王道化に寄与しているという点であると思うのです。
さてさて、進撃の巨人は、26巻以降もまた、『要素の組み合わせによる独創』というテンプレの王道化に邁進するでしょうか。それとも、これからは王道ではない、単独で独創的な新たな展開が待ち受けているのでしょうか。どんな展開になるのでしょうか、先の展開が非常に楽しみな漫画です。
『進撃の巨人』25巻 用語集
- あずまびとけ
【アズマビト家】 - 家名。
- あに・れおんはーと
【アニ・レオンハート】 - 人名。「女型の巨人」の継承者。
- うど
【ウド】 - 人名。「マーレの戦士」の候補生。
- えいゆうへーろす
【英雄ヘーロス】 - 人名。マーレ人。巨人大戦における英雄。
- えるでぃあじん
【エルディア人】 - マガト隊長曰く、悪魔の末裔。
- えれんいぇーがー
【エレン・イェーガー】 - 人名。クルーガー。
- かべのおう
【壁の王】 - 人名。フリッツ王。
- かるゔぃーげんすい
【カルヴィー元帥】 - 人名。マーレ軍の要人。
- かーる・ふりっつ
【カール・フリッツ】 - 人名。145代フリッツ王。「始祖の巨人」の継承者。
- がび・ぶらうん
【ガビ・ブラウン】 - 人名。「マーレの戦士」の候補生。ライナー・ブラウンの従妹。
- きよみ
【キヨミ】 - 人名。アズマビト家の人物。
- くるーがー
【クルーガー】 - 人名。エレン・イェーガー。
- こにー・すぷりんがー
【コニー・スプリンガー】 - 人名。コニー。第104期訓練兵団の一人。
- さしゃ・ぶらうす
【サシャ・ブラウス】 - 人名。第104期訓練兵団の一人。
- しそのきょじん
【始祖の巨人】 - カール・フリッツ(フリッツ王)が継承。
- じならし
【地鳴らし超大型巨人軍による襲撃のこと。 - じゃん・きるしゅたいん
【ジャン・キルシュタイン】 - 人名。第104期訓練兵の一人。
- ぞふぃあ
【ゾフィア】 - 人名。「マーレの戦士」の候補生。
- たいばーけ
【タイバー家】 - 家名。戦鎚の巨人を管理。
- たいばーこう
【タイバー公】 - 人名。タイバー家の当主。ヴァリー・タイバー。
- ぱらでぃとう
【パラディ島】 - 地名。初期・中期 進撃の巨人の舞台。
- ぴーく
【ピーク】 - 人名。マーレの戦士。「車力の巨人」の継承者。
- ふぁるこ
【ファルコ・グライス】 - 人名。エルディア人。マーレの戦士候補。
- ふりっつおう
【フリッツ王】 - 人名。代々始祖の巨人を継承。カール・フリッツ
- ふろっく
【フロック】 - 人名。第104期訓練兵の一人。
- べるとると・ふーばー
【ベルトルト・フーバー】 - 人名。かつて「超大型の巨人」を継承。エルディア人のマーレの戦士。
- まがとたいちょう
【マガト隊長】 - 人名。マーレ軍の要人。
- まるせる・がりあーど
【マルセル・ガリアード】 - 人名。「顎の巨人」の継承者。
- まーれ
【マーレ】 - 国名。マーレ編の舞台。
- みかさ・あっかーまん
【ミカサ・アッカーマン】 - 人名。第104期訓練兵の一人。
- らいなー・ぶらうん
【ライナー・ブラウン】 - 人名。「鎧の巨人」の継承者。
- れべりおしゅうようく
【レベリオ収容区】 - 地名。エルディア人を収容している。
- ゔぁりー・たいばー
【ヴァリー・タイバー】 - 人名。タイバー公。マーレ政府特使。
- じゃん・きるしゅたいん
最後に
最後まで見て頂き、どうもありがとうございます。気になった点などありましたら、ぜひコメントしてください。
にほんブログ村 に参加しています。もしよろしければ、この記事と同じカテゴリの、他のブロガーさんのブログものぞいてみてみてください。
- 2018-04-17 初版公開
- 2018-05-05 追補 (最後に)