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日々感じたこと、艦隊これくしょん、千年戦争アイギス、読書記録

2005/06/20(月) 萩国際大 再生法適用申請へ

 在学生には悪いと思うが、この大学が、経営難に陥るのは当然の結果だったと言っていい。 まず、定員割れを中国人留学生によって補おうとした点。 これでは、いくら経営を続けても、日本での知名度は上がらない。 知名度が上がらなければ、人気も上がらないのは、 入学難易度が高いといわれる大学の知名度を考えればわかるだろう。 したがって、中国人留学生で定員割れを補っていても、いつまでたっても定員割れは続くのである。 [かきなぐりプレス]によると、 キャンパスの通学立地もかなり悪いようであるし、 萩にあるという立地だけで、吉田松陰を呼び水にしている点、 「国際情報学部 国際学科」に、「ゴルフコース」を設置したチグハグさなど、 問題はたくさんあるように思う。

 しかし、僕が、このニュースで危機を感じるのは大学が潰れる時代が始まってしまうことである。 大学が潰れる時代になれば、学生がよけい人気校にあつまるだろう。加えて少子化である。 加速度的に大学が潰れる可能性がある。 無名でも、偏差値が低くても、すばらしい大学は沢山あるはずなのだ。 すばらしい大学が、偏差値が低いから、知名度が低いからという理由で、 潰れてしまうのは、悲しいことだと思う。 偏差値と一部のイメージで希望の大学を決めてしまって、僕たちは、大学について知らなすぎる。

 たとえば、ある友人は、河合塾集計の偏差値で比べて、僕の学部のほうが彼の学部より偏差値が高かったことを 悔しがっていたが、理系学部と、文系学部では、そもそも基準が違うはずである。 このような比較にまで、偏差値が使われてしまっている。 それに、夏目漱石が学んだ漢文塾が起源の二松学舎大学は、偏差値でならべるとかならずしも上とはいえないし、 風力発電所が好きな人のあいだでは有名な、足利工業大学も、受験偏差値はかなり下である。 特徴がある大学が必ずしも、生き残れるとは限らない。 べつの友人は、受験日に、キャンパスに教会があるのを見るまで、上智大学カトリックのミッションスクールだと知らなかったし、 またべつの友人は、彼の大学の経済学部が、日本で初めての経済学部であったことを知らなかった。 大学の沿革や特徴は、進路選択のとき、あまり考慮に入っていない。 マンモス大学に入学して感じることだけど、 僕が以前所属していた大学の授業は、少人数できめ細かい授業が提供されていたと思う。 しかも、多くの授業がゼミ形式だったので、友達との関係がどんどん親密になっていった。 人気と授業の質が比例するわけでは決してない。

 高校は、学校または就職先を調べる授業を通年で開講すべきだ。 入学希望の学校の沿革、理想、カリキュラムや、希望の職業の面白さ、つまらなさ、 大変さなど、各自で調べて発表するのがいい。 発表を見て、クラスの仲間は知らなかった進路を知ることができると思う。

 資格スクールとしてもともと有名だったLEC大学は、1年目こそ40前半だった偏差値も、 2年目の今年は、40後半である。5年後はいわゆる中堅私大に入っているかもしれない。 僕の前の大学は、京都議定書の影響か、1年で偏差値が2つも上がった。 知名度が上がれば、いい大学の定員は自然に埋まるのである。


  • 2018/04/23 追補・再公開