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RYTHEM『桜唄』

今週のお題「わたしの春うた」

RYTHEM『桜唄』

桜唄

桜唄

 今週のお題が春うたということで。最初に思いついたのがこの曲でした。二人組女性デュオ、RYTHEMの『桜唄』。春は出会いと別れの季節といいますが、「出会い」についてはなんだかんだでいろいろなイベントにかこつけていろいろな季節で歌われるような気がしますから、やっぱり春の歌といったら、別れの曲を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。RYTHEMの『桜唄』も別れのほうを歌った曲です。

桜唄 RYTHEM - 歌詞タイム

とくに素晴らしいのがCメロのこの部分。

「じゃあね、さよなら」と喉の奥まで突き刺すようにあなたの声
桜散らないで 記憶にしないで
わかってるけど
気付いているけど

AメロBメロサビと淡々と順調に歌い上げてきたところに、思わず涙が溢れてきてしまいそうな、すうっと感情がわき上がってくるような瞬間的な曲調の盛り上がり。そして、ついにくる決定的な別れの言葉。そしてつながる2回3回と繰り返して聞き慣れた淡々とした大サビ。一瞬で散る桜そのものを曲全体で表現しているかのようです。

 さてさて、自分が大好きなこの部分、普通に考えれば、この曲、恋人との別れ、普通の「春っぽい別れ」の歌詞と解釈できます。できますが!

 ここで、またまたこの曲が発表されるちょっと前の自分のブログ記事を紹介します

aods1004.hatenablog.jp

最初から二人合同で作詞作曲しているところ。(さすが、音楽の町「川崎」出身!!)歌手自ら作詞作曲してないと、楽曲が好きなのか、歌手がすきなのか、よくわからなくなることがあり、もどかしいんだけど、自分達で作詞作曲までして歌っていると、ためらいなくアーティスト全部を愛せるから好き。

 実はこの曲、「二人合同で作詞作曲」ではなく、デュオの片方「新津由衣」さんのほうの作詞作曲なんですよね。RYTHEMの中期から後期は、二人で合同制作することは少なくなり、単独で作詞作曲した曲が多くなります。傾向でいえば、「新津由衣」さんのほうは、幻想的でキャッチーな曲を、「加藤有加利」さんのほうは乙女っぽくて感情豊かでメロディアスな感じの曲を書いていましたかな。

ところで、二人の人間が付き合うとき、二人の間にはいろいろな暗黙のルールができると思う。そういうルールの中に、「ケンカしちゃいけない、もしくは、ケンカしないほど私達仲いいよね?」というものがある。だけど、こういう「ケンカしないよ」ルール作った時点から、その二人の「別れ」へのカウントダウンが始まるんだと思う。自分を全面的に出していかなくてはいけない、芸術で共作してるコンビは特にそうだと思う。二人の好み・方向性・才能は違うに決まっているから、「違っていること」をケンカをとおして確認しあわないと、「違い」はつもりつもって、「別れ」に繋がってしまう。せっかく重なりあっているところまで全部すてなくてはいけない。

 初期RYTHEMでは、インタビューなどで、二人の中の良さをアピールしていましたが、ここにきて別の方向性の曲を書くのがあたりまえのように。やっぱりそうなのかなぁ・・・と。

 結局、2011年にRYTHEMは解散しソロ活動のフェイズに入ります。どのような経緯でソロ活動のフェイズに移行されたのかは本当にわかりません。わかりませんが、二人の「別れ」がいつか来ることを予感しながらRYTHEMを応援していた僕は、彼女たちの関係性とこの歌の歌詞を重ねては、太宰治私小説のようなドキドキを感じながら、さらに感傷的な春の気分に浸ってしまうんです。